スワロフスキー銀座 定期メンテナンス

今回うかがったのは、スワロフスキー銀座。ホテルやオフィスビルなど、通常シャンデリアの定期メンテナンスは頻度の高いところでも一年に一度というケースがほとんどですが、取り扱っている製品そのものがクリスタルということもあり、こちら、スワロフスキー銀座からは、半年に一度ご依頼をいただいています。

前回、2021年12月にうかがったときに比べると、銀座の人出も多くなってきたようで、作業が始まる閉店の20時を過ぎた頃にも、お食事に向かう方やお酒を飲みに行く方、街のにぎわいが少しずつ戻ってきているのを感じました。

全てのお客様が退店されると、まずは機材を搬入。そして作業スペースの製作、洗浄するオブジェ、シャンデリア、ショーケースやその周辺の養生を行います。

養生が終わると、各自、担当に分かれてクリーニング作業の開始です。

取り扱う商品がクリスタルということもあり、魅力ある商品を照らす照明器具の一つ一つも、意匠を凝らしてあるデリケートなもの。噴霧器でクリーニングできないものは、毛ばたきでほこりを取り除いて、柔らかなクロスで拭きあげて行きます。

ショップを訪れたお客様を迎える、エントランス壁面に取り付けられたクリスタルの半球状のパーツ「クリスタル・バブル」は、丁寧に取り外し、超音波洗浄機で洗います。

1階レジカウンター前の大きな盆栽のオブジェも、半年ぶりにクリーニング。クリスタルでできた桜の花を一つずつ取り外し、超音波洗浄機で洗浄します。デリケート、かつ、細かな造形のパーツなため、今回は洗剤(界面活性剤)は使わずにアルカリ電解水を使用しています。洗浄後は洗剤成分を洗い流す必要がなく、送風機で水分を吹き飛ばすことで、水道水に含まれるミネラル分がクリスタルの表面に残ることによるくすみの発生を抑え、綺麗な輝きが長持ちします。

盆栽のクリーニングが終わると、その下の白い玉砂利の上に配置してあるクリスタルの洗浄です。実際の見た目はほとんど変わらないのですが、表面は手触りが少し違います。少し大げさに加工をした写真ですが、洗浄前後の違いがお分かりいただけますでしょうか。洗浄後は透明感が増しています。そして何よりの違いが、複雑なカットによる輝きです。手に持ったパーツの角度が変えると周りの照明の光を受けてキラキラと輝きます。

これは、普段行なっているシャンデリアも同様。クリーニング後は、パーツの透明感とともに全体の輝きが大きく変わります。

こちらのオブジェでは、花のパーツだけで16,000以上、花のパーツは5枚の花びらと1つの大きなビーズで構成されているので、クリスタル自体は10万点以上。オブジェを見ながら前後左右少し動くだけで、周囲の光を反射して流れるようにきらめきも動き、その存在感は圧倒的です。

通常のシャンデリアのメンテナンスに比べ難易度が高い面もありますが、何度か繰り返しているので、2日間に渡るクリーニング作業は順調に終えることができました。