懐かしい汚れ

これまでのブログにも書いてきていますが、シャンデリアの主な汚れはホコリです。普段の家庭でのお掃除もそうですが、早いうちに払ってしまえば、ホコリはすぐに落とせます。しかし時間が経つと払っただけでは落ちないので、拭かなければなりません。乾拭きで簡単に落とせる汚れもあれば、しっかりと水拭きしなければならない汚れもあります。ホコリ汚れは湿気を帯びると途端に落ちにくくなってしまうのです。しかし、ホコリ汚れが落ちにくくなる原因は他にもあります。

ホテルの宴会場といえば、大勢の人が集まる場所、それだけホコリもたちます。暖かい料理を提供することもあるので、湿気も溜まります。さらに、朝食ブッフェの定番、エッグステーションなど、時には調理をすることもあります。この時に発生する油煙が蓄積されて、シャンデリアの汚れを落ちにくくするのです。ちょうど、換気扇に汚れが蓄積するように。そして、もう一つがタバコの煙です。油で落ちにくいホコリにさらにタバコのヤニがつくと、ちょっとやそっとでは汚れは落ちません。かと言って、強力な洗剤を使用すると、金属部品を傷めますし、デリケートなパーツをゴシゴシとこすって洗い落とすわけにもいけません。しつこい汚れを丁寧に洗わなければならないので、昔は宴会場のシャンデリアのクリーニングには随分と時間がかかりました。しかし、最近は、ほとんどのホテルで宴会場は禁煙となっているため、他の場所と比べて汚れがひどいということはなくなりました。作業をして体感できるほどの違いがあり、実際にどのホテル宴会場のシャンデリアも、作業時間が昔ほどかかりません。

それでも、10年以上クリーニングをしていないシャンデリアの仕事の中には、タバコ汚れのしっかり付いているものをたまに見つけることがあります。ご存知の通り、タバコのヤニは色もついていますから、クリーニング前後のシャンデリアの輝きは全く違います。部屋の雰囲気まで変わると、ご依頼いただいた担当の方は相当驚かれます。

作業自体は大変なのですが、たまにそういうシャンデリアに巡り会うと、少し懐かしい気分にもなります。