南三陸ホテル観洋

約1年半ぶりに、宮城県南三陸町の、南三陸ホテル観洋に行ってきました。今回は、昨年とは異なり、シャンデリアの数は少ないのですがひとつひとつのサイズが大きい、宴会場でのクリーニング。規模が大きいので、2泊3日の行程です。

東京・新宿の事務所を出発したのが12月8日の午前7時。常磐道をひた走り。茨城県内まではそれほど寒くはなかったのですが、福島以北になってくると、休憩のたびに空気の冷たさが強く感じられるようになってきました。志津川の町にはお昼過ぎに到着。東京を出てから5時間以上のドライブ、ちょうどお腹がすいてきた頃に雰囲気のある食堂を見つけたので、寄ってみました。

志津川の町中から少し山に入った入谷集落で見つけた、窓の外に干し柿がつるしてある、街道沿いのドライブイン的食堂。営業時間が11:00〜14:00で、お昼時を外したら入れないあたり、観光客向けというより地元の方向けのお店でしょうか。玄関先で靴を脱いでお店に入るというのも、親戚のお家に遊びにきた感じで◎。メニューを見てみると、海鮮だけでなく、ラーメンや唐揚げ定食、焼きそばやとんかつ定食などなど。これは、地元の人に愛される「当たり!」のお店だと確信。実際、地元の方と思しきグループの皆さんがラーメンやカレーライスを注文していました。我々スタッフは、これからきっと食べることになるであろう海鮮をあえて避け、全員が日替わり定食を注文。この日は野菜炒め定食でした。予想通りボリューム満点、野菜に隠れて肉もたっぷり入った定食です。お椀は、すべての定食につく、こちらのお店オリジナルの「海鮮はっと汁」。やはり、南三陸ではどんなメニューにも海鮮はつきもののようです。本来のはっと汁はここら辺の郷土料理で、小麦粉をこねたものを肉や野菜、豆とともに煮た「すいとん」のようなものだそうですが、こちらの「海鮮はっと汁」は、牡蠣やアサリ、ホタテ、わかめがたっぷりの汁にすいとんのようなものが入った、まさに、「海鮮はっと汁」。聞いてみると、味付けは貝の出汁と醤油だけだそうで、味わい深いなんとも贅沢なお椀です。「はっと」の方は、すいとんより平らに延ばしてあり、トゥルンと口に入る感じが、少し麺っぽく心地の良い食感でした。食後には、コーヒーも出していただき、まだ何も仕事をしていないのに、すっかりくつろぎモードになってしまいました。

いつまでもゆっくりはしていられないと、コーヒーを飲み終えたらいざ、今回の現場、南三陸ホテル観洋へ。仕事モードへスイッチ切り替えです。今回作業する350名収容可能な多目的ホール「クイーンエリザベス」には大きなシャンデリアが3台。このシャンデリアのほか、壁面に据え付けてあるブラケットライトを3日間でクリーニングします。まずは、シャンデリアの下にブルーシートを敷き、清掃機材を搬入。ローリングタワーを組み立てて、シャンデリアのチェックを行います。

通常は一度現地調査を行なって、シャンデリアの規模や構造等を把握した上でクリーニング当日を迎えるわけなのですが、こちらのホテルは東京から距離もあり、前回の作業の際には構造等をだいたい把握していたので事前チェックは行なっていませんでしたが、特に想定外の事態はなく、一安心。ドタバタすることなく時間内にクリーニング作業を行えそうです。シャンデリアクリーニングには、そんな余裕が大切です。なにせ相手はたくさんのデリケートなパーツと、高所での作業。焦ったり、慌てたりは、怪我やパーツ破損の原因ともなります。

まずは一番はじめの行程はホコリ落とし。毛ばたきでビーズをはじめ各パーツについたホコリを落として行きます。地味な作業に見えますがこれが非常に重要。この時に、構成するパーツをよく観察して、汚れのつき具合、落としやすさ、破損個所のチェック、切れている電球、電球とソケットへの養生の要不要、作業中の注意点等を判断して、総所要時間を割り出します。

あとで洗浄するにせよ、ホコリはこの時点でできるだけ落としておく方が汚れ落ちが良く、最終的には作業時間の短縮につながります。しかし、力が入りすぎるとパーツが破損してしまうし、弱すぎるとホコリは落とすことができず、この微妙な力加減が腕の見せ所です。そうこうするうちに段取りが決まり、ひとまず初日は、1台だけはテストを兼ねて洗浄まで行うこととしました。

1日目の作業が終わり、ロビーに出てみると、ポケットモンスターのラプラスがお出迎え。一緒に写真撮影ができるようでした。スマートフォンの位置情報ゲーム、ポケモンGOと宮城県のコラボで、観光キャンペーンが行われているとのこと。普段滅多に出会えないラプラスに、ゲーム上でも出会いやすいということでしたが、残念ながら今回の滞在中には出会えませんでした。

https://laplace-miyagi.jp/

海を一望できる露天風呂で温まった後は、海の幸を思う存分楽しみました。普段は食べられないようなものばかりで、留守番組のスタッフには、申し訳ない。

朝日が美しいのも、このホテルの魅力。この日の日の出は6:40と、昨年の5月に来た時に比べ2時間遅くなっていて、日の出の位置も随分南側となっていました。小学生の頃の理科の授業を思い出します。

朝食をすませると、2日目の作業です。ホコリを落とす → 洗剤噴霧 → すすぎ噴霧 → 拭き取り 基本通りの清掃ですが、シャンデリアの規模が大きいので、全てを終わらせるのには時間がかかります。それでもお昼頃には、だいたいの洗浄作業のめどがつきました。いかがでしょうか。ビーズのキラキラ感お分かりいただけますでしょうか。

午前中の作業を終えて昼食をとり、昼休みを兼ね、南三陸ホテル観洋のブログで見たので、志津川の町に今年できた復興祈念公園に行ってきました。隣接する南三陸さんさん商店街には、お土産品や海の幸を扱う店が並び、中でも目を引いたのが魚屋さんの軒先で寒風にさらされていた新巻鮭。聞くところによると。志津川は銀鮭養殖の発祥の地だそうで、現在でも日本の養殖銀鮭の9割は宮城県産なのだそうです。値頃なものを見つけて買って帰ろうかなとも思ったのですが、食べきれるのだろうか、保存はどうすれば良いのか、、色々と不安が頭をよぎり、今回は諦めることにしました。

ホテルに戻ると仕上げ作業です。まずはシャンデリア全体を丁寧に拭き上げて行きます。クリーニング時に見つけた破損パーツの修繕も行います。電球の交換も行います。ひとつくらい電球が切れていても、明るさ自体はそれほど変わらないかもしれませんが、光源から発せられた光がガラスパイプやビーズに映った部分が描く模様が変わるので、シャンデリアを見るのに慣れてくると、簡単に電球が切れている場所がわかるのです。特にクリーニングを終えた直後はクリスタルに映し出される光が非常にクリアでシャープなので、なおさらです。

最後に、全点灯をして、確認です。なかなか写真では分りにくいのですが、一番下のパーツの反射で描くひし形エッジや電球の写り込みが描く曲線の長さが長くなり、クリーニング前に比べるとシャンデリア全体も明るくなっています。今回は作業量自体は多めでしたが、時間の制約がなかったので思いの外作業がはかどり、当初予定したよりも早く2日間で全ての作業を終えることができました。

今回のクリーニングの様子は、南三陸ホテル観洋のブログでも紹介されています。

https://www.mkanyo.jp/tokimeki-pichipichi-dayori/2020/12/15/